「インクルーシブ保育・教育」という言葉を耳にするようになってきました。それを実現するために、保育者は保育や教育の現場で尽力しています。ここでは、「インクルーシブ保育・教育」についてお話しします。
インクルーシブの意味は、「すべてを包括する、包みこむ」ことです。 障がいの有無や性別、性的嗜好、人種など、私たちには同じ人間であっても様々な違いがあります。このような違いを認め合い、すべての人がお互いを尊重し合いながら生きていく社会をインクルーシブ社会といいます。それに基づき、インクルーシブ保育・教育では、さまざまな子どもとの関わりを通して、相手を理解し、思いやる気持ちを育てます。
インクルーシブ保育・教育を行うためには、保育者が子どもを理解することが必要です。子どもを理解することは「保育の始まり」とも言われています。子どもを理解するのは「発達理解」と「共感的理解」の2つの側面があり、統合して理解する必要があります。「発達理解」は、子どもの身体能力、知的能力、コミュニケー ション能力、表現力などの成長の過程を一人一人の状況に即して理解することです。
「共感的理解」とは、子どもに対する深い関心と尊重の理念を持ち、子どもの身になって子どもの心を感じ取りながら理解しようと努めることです。子ども一人ひとりの言動や表情などから、思いや考えを理解し受け止め、子どもの良さや可能性を理解することが大切です。子どもは全身で思いを表現するため、保育者は子どもの表面の行動から内面を推し量り、寄り添うことが大切です。
保育士や幼稚園教諭になるためには、幼稚園・保育所・福祉施設での実習が必要です。学外実習の学びについて、学生からは「子どもを理解すること」や「発達を理解した上で子どもに関わる必要がある」ということが多く聞かれます。その学びを実際に活かして、保育者として働いています。そして、保育者のその姿勢が子どもに伝わり、お互いを思いやる気持ちが育つのです。これが、インクルーシブ保育・教育の実現に繋がります。
introduction
子ども家庭福祉/社会的養護Ⅰ/障がい児保育/子ども家庭支援論/特別支援教育 他