プレシジョン栄養(個別化栄養)は、各個人の遺伝情報、健康状態やライフスタイルなどを考慮し、最適な栄養プランを提供するアプローチのことです。これにより、個々の体質に合った効果的な栄養管理が可能となります。
「プレシジョン(Precision)」は、精度や正確さを意味する言葉です。具体的には、計測や分析、操作などが非常に細かく正確であることを指します。科学や技術の分野では、対象やプロセスを細かく正確に扱うことが求められる場面で使われます。例えば、プレシジョン医療は、個々の患者の遺伝情報や生活環境などを精密に分析して、最適な治療を行うことを目指しています。このように、プレシジョンは「細部にこだわった精密さ」を表します。
プレシジョン栄養の実践により、疾患リスクの軽減や健康の維持、パフォーマンスの向上を目指すことができます。また、個別化された栄養管理によって、特定の疾患予防や治療効果の向上が見込まれ、医療コストの削減にも繋がるため、より重要性が増しています。例えば、『あなたは遺伝背景的に将来〇〇病になるリスクが高いため、〇〇の摂りすぎには注意しましょう』というアプローチができる、ということになります。
プレシジョン栄養の実践におけるキーマンは、何と言っても管理栄養士です。管理栄養士は、個々の遺伝情報、健康状態、生活習慣を理解した上で、それに基づいた最適な栄養プランを設計することができます。また、その栄養プランを基に、健康でおいしい食事・献立を提案することもできます。各個人が専属の管理栄養士を持つことができれば、すべての人々にプレシジョン栄養の実践が可能となりますが、現実的には難しいと言えます。
私たちは、すべての人々が手軽にプレシジョン栄養を実践できるシステム(アプリ)を構築中です。現在は、個人に合わせた栄養素量を算出するWebツールは利用可能になっていますが、それを食事に「翻訳」する過程(食事提供システム)はまだ完成していません。社会の変化やニーズに応じて、管理栄養士が中心となったプレシジョン栄養を実践できるよう、今後も研究を進めていきます。
introduction
人体の構造/人体の生理機能/臨床栄養アセスメント総論/臨床栄養管理学(薬含む)/健康・栄養情報処理実習/管理栄養士演習 他