秋になると、どこからともなく香る金木犀の香り。香りは脳に0.2秒で届きます。特定の香りを嗅ぐことで懐かしい気持ちになったことはありませんか?香りと脳、香りと認知症の関係をひも解いていきます。
鼻の奥に並んでいる嗅細胞には「におい分子受容体」があります。外界から嗅ぎこまれた「におい分子」が「におい分子受容体」と結合した時に、電気信号が脳にある嗅球へと伝わります。におい分子は約390種類程度あり、においの組み合わせ多種多様です。「嗅球→嗅索→嗅結節→扁桃体→嗅内皮質→海馬→眼窩前頭皮質」へとリレー。においを具体的に認識します。
高齢者は花の香りを嗅ぐことで、こどもの時の思い出の記憶、よい香りといった気持ち、これは椿の花であると認識しています。香りによって、海馬で記憶を誘発、扁桃体で情動的な反応、眼窩前頭皮質では認知機能と、脳の様々な部位がはたらきます。脳細胞は一端ダメージをうけると再生されないと言われていますが、最近の研究で、嗅球、海馬の細胞は再生されることがわかってきました。
認知症の非薬物療法の一つにアロマテラピーがあります。また、相補(補完)・代替療法でもあります。アルツハイマー型認知症の症状の記憶障害は広く知られています。記憶障害と同時に、嗅覚障害も現われてきます。嗅神経から海馬に萎縮によるものです。認知前状態である軽度認知機能障害の段階から嗅神経を効果的に刺激することで認知症が予防できる可能性も示唆されています。
アロマオイルを使ったハンドマッサージは主に嗅覚と触覚に作用します。認知症ケアで重要視されている触れるケアにつながります。高齢者施設でアロマオイルを使ったハンドマッサージをとりいれたことで、認知症の心理・行動症状、職員の健康に効果があったと報告があります。香りによって、認知症の予防、症状の改善がもたらされます。
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メディカル秘書概論/メディカル秘書実務/介護初任者研修過程/健康の医学/社会福祉論/こころとからだのしくみ 他