授乳やおむつ交換など、たくさんのお世話を受けて育っていく赤ちゃんですが、決して受け身の存在ではありません。たくましく周囲の人々とふれあいながら、文化の中で人間へと育っていく一つの過程をご紹介します。
ご存知の通り、赤ちゃんはまだ歩くことも、一人でご飯を食べることも、そして、ことばを話すことも理解することもできません。しかし、生後間もない赤ちゃんでも、人の顔に興味を示し、トーンの高めの声、特に母親の声に敏感に反応することができます。RとLの音を聞き分けることさえ可能です。そして、周囲の人から関わられることを待つだけでなく、まねをしたり、赤ちゃん自らが周囲に誘い掛けたりすることができるのです
このように、赤ちゃんは人間社会で生きていくための基礎的なコミュニケーション力を備えて生まれてきます。その能力を刺激するあそびに、“ふれあいあそび”があります。おうちの人や保育士さんが、赤ちゃんと一緒に歌いながらふれあう活動で、赤ちゃんに合わせて繰り返し、柔軟に声やテンポを変化させて遊びます。短くリズミカルな旋律はわかりやすく、語り掛けるような歌声は、人やことばへの興味を惹きつけます。
歌に調子を合わせて、顔や身体、手指や足に心地よく触れられることで、赤ちゃんは自分自身の身体を認識していくこともできます。また、赤ちゃんが能動的に、相手の顔をじっと見て、時間差で口の動きをまねたり、手を伸ばしたりしていることが観察できるでしょう。自分に向けて投げかけられる笑顔や歌声をしっかりとキャッチしながら、自分が大切な存在としてかかわられている、という安心感を育くむこともできます。
日常生活や保育に、ふれあいあそびを取り入れてみましょう。例えば、お風呂の時間や寝る前にふれあいあそびを行うことで、赤ちゃんは周囲の人からの愛情を感じ、情緒を安定させて過ごすことができます。また、保護者は養育ストレスが軽減され、育児の喜びを再確認できるでしょう。ふれあいあそびを通じて親子の絆が深まり、愛着形成が促進されます。しっかりと形成された愛着は、その後の成長に大きく貢献するでしょう。
introduction
こども表現(音楽Ⅱ)/音楽科教育法/特別支援教育論/教育実習指導(幼) 他