私たちの安心・安全な暮らしを支える信頼性技術。その中には、無駄と思われるものや、無駄なことが役に立っています。あえて無駄なことを取り入れることがなぜ必要でしょうか。
「冗長」という言葉は、重複していて無駄が多い、不必要なという意味で使われますが、高い信頼性を実現するためには、欠かせないものです。冗長には、空間冗長と時間冗長があります。余分なハードウェアを付加する空間冗長、再試行など余計な手間をかける時間的冗長です。実際、どのようなことに応用されているでしょうか。適用事例を紹介します。
通信分野ではデータパケットを速く正確に届けることが課題です。送信側は、受信側からの受取確認メッセージを受け取ることで、パケットが届いたことを確認できます。確認できない場合は、パケットを再送します。通信環境が悪いところでは、受信確認メッセージも失われる場合があります。そこで、メッセージを冗長化し、送信側のパケット再送回数に合わせてメッセージの冗長数を変動させる重複ACK方式という通信方式を提案しました。
コンピュータシステムをインターネットに接続する際には、サイバー攻撃への対応が必要です。サイバー攻撃を検出するために、侵入検知システムなどのセキュリティツールを用いてチェックを行います。チェックを行うことは、システムに負担をかけます。無駄な処理となりますが欠かすことはできません。どのタイミングでチェックを行えばよいかについては研究課題の一つとなっています。
私たちのライフスタイルにおいても、冗長、ゆとり、余裕、遊びを取り入れることは必要です。それは、どの程度でしょうか。この答えを出すためには、身の回りの出来事を抽象化し、モデル化して分析することで、一定の根拠を持って最適な量を示すことができます。暮らしに関わる課題の解決のために、科学的なアプローチ方法を学びましょう。
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情報リテラシー 他