こどもの生活専攻で2年前まで指導されていた澁谷由美先生をお迎えして、保育職や教職をめざす1~3年生に向けて語っていただくトークイベントが行われました。澁谷先生は現在、岐阜県にある笠松保育園にて園長をされています。園の雰囲気や、保育士という仕事について、本学の加藤万也先生と古川洋子先生が聞き手となり自由に語っていただきました。
【最近の園の雰囲気について】
学生が実習先で感じる園の雰囲気といえば、かつては「厳しい」いう答えが多かったもの。しかし最近では「ゆったりしている」と感じる学生も多いとのこと…。
澁谷先生「今は保育士が足りない状況なので、若い保育士に対して優しく接する傾向にあると思います。ちょっと厳しいことを言うと辞めてしまうこともあるので…」
古川先生「大学から実習生を送る立場として4年間実習先の園を巡回していますが、確かに園長、主任の言葉が優しくなってきていると思います。『ぜひうちで働いてください』と言っていただけます。」
澁谷先生「笠松保育園に来る実習生のみなさんは、みなさんすばらしいです。私だけでなく保育士もそう思っています。それは、『経験のない学生は今はできなくて当たり前なので、ここで覚えていってほしい、だからどんな人が来てもすごいね』という気持ちになっているのだと思います。」
加藤先生「もちろん『できなくて当たり前』、というのは『できなくてもいいんだ』ではなく、『一生懸命やってもできないならしょうがない、でもできるように考えよう』という意味だということを、学生のみなさんは知っておいてください。」
【「すごい」と思える保育士について】
澁谷先生「障がいを持った子どもや、集団になじめない子どもをクラスで一緒にみることが多い中、私が自分の園ですごいと思う保育士は、例えば障害を持った子どもが教室から飛び出してしまった場合、その子に『どうしてそういうことをするのか』とちゃんと聞いたり、自分がなぜ怒っているか丁寧に説明をします。とはいえ、その子だけに構うわけにはいかないので教室に戻りますが、それでも遠くからでもちゃんと見ていてあげています。」
古川先生「私もかつて園に勤めていた時は、一人のためにクラスが振り回されてしまうようなこともあり、もちろんいけないことですが『休んでくれたらクラス運営がうまくいくのに』とさえ思ってしまっていました。でも構うことはできなくても、『あなたのことは見ていますよ』と合図を送るだけで『この先生なら大丈夫かな』と思ってもらえる。
『ひとりひとり』『丁寧に』という指導は確かに重要ですが、実はすごく難しいこと。でも少しでもそれができるような先生をめざしてほしいと思います。」
他にもたくさんのエピソードや事例を挙げていただき、保育実習を終えたばかりの2年生、3年生には特に実感しやすく、今後の実習にも活かしていけるような時間となりました。
終えたばかりの実習で感じたこと、このトークイベントで感じたことを踏まえ、学生たちに「どんな保育士(教師)になりたいか」という質問に答えてくれた回答の一部です。
・実習で支援をしすぎてしまうことが多かったので、見守る保育ができるようにしたい。
・しっかりと現実をみることのできる保育士(教師)。
・男性である点を活かし、自分にしかできない遊びなどをしたい。
・常に自分の技術を磨く努力ができる保育士。
・自分の殻にこもる子どもにならないように関わりたい。自分がこもってしまいがちなので、そうならないようにさせてあげたい。
・自分自身が子ども以上に笑って楽しむことができる保育者。
・愛情たっぷりの保育がしたい。
・毎日学校に来たいと思えるような学級運営ができる教師
・子どもの小さなサインに気づける教師