小学校でのエクスターンシップを終えて(こどもの生活専攻)

こどもの生活専攻では、「エクスターンシップ」という授業があります。これは、近隣の小学校で週に1度、半年間(後期の授業も希望すれば1年間)、様々なお手伝いをする貴重な時間です。

この日は、小学校にエクスターンシップに行った学生の発表会。
学校によって、担当する学年も、サポートする内容も様々。朝の会を見学したり、放課に一緒に遊んだり、授業中わからないところを教えたり、などなど・・・。

半年間小学校に通った学生達が、どんなことをして何を学んだかを発表しました。

 

 

ある学生がこんなエピソードを紹介してくれました。

小学5年生の複数のクラスに入らせてもらいました。あるクラスの担任の先生は20代後半の若い先生で、児童に対して叱ることももちろんあるが基本的に優しい。また違うクラスの先生はベテランの方で、騒いでしまうような児童にはたとえ授業が止まったとしてもちゃんと叱り、何がいけないかを伝えていました。そしてベテラン先生のクラスの中に、少しふざけがちな児童がいました。落ち着きもなく、意味調べなど面倒なことをやらなかったりして、すぐに「先生わからん」と言うので、自分もよく声を掛けるようにしていました。図工の時間に、やっぱり途中で作業が嫌になってしまったみたいで、担任の先生は一度、彼に怒鳴りました。そうしたらシュンとしてしまったので、僕が後から声を掛けに行きました。それを見た担任の先生から「あの子には声を掛けないでください。一回放っておいてください。」と言われてしまいました。でもしばらくしたら、その児童は担任の先生に自分から謝りに行き、作業もやりはじめたんです。そして驚いたことに、最後に僕のところにも来て「先生、さっきはふてくされた態度をとってごめんなさい。」と言いに来てくれました。
半年間という期間は短い期間でしたが、その児童の成長をすごく感じられて感動してしまいました。そして、担任の先生の伝えたかったことはこういうことか。ほめて笑顔で伸ばす方法もあるけれど、厳しい伝え方もある。そこから児童が学ぶことはたくさんあるんだな、と思ってなんだか泣きそうになりました。

またこんな体験をした学生も。

ある4年生の女の子に初めて会ったときのこと。彼女のハンカチに触れようとしたら、「触らないで」と言われてしまいました。ちょっとショックでしたが、でもその日一日で少しでも近づこうと思って、授業中も放課も適度な距離を保ちながら彼女と関わろうと努力しました。そうしたら帰るときに全然違う態度で「先生ハンカチ持っていいよ、かわいいでしょ」と言ってくれて、こちらから歩み寄れば心を開いてくれるんだなと思いました。

他にも様々な意見がありました。

・同じ学年でいろいろなクラスに入らせてもらったので、クラスによって雰囲気が全然違うということがわかって勉強になった。
・特別支援のクラスにも入らせてもらうことができて貴重な経験ができた。
・教科書だけでなく、テレビモニターを使って教える、など自分が子どもの頃とはいろいろなことが変わっていると思った。
・これまでの大学の授業では小さい子と関わることが多かったので、高学年と関わりたいと学校に伝え、希望をかなえていただいた。
・保育の道と、小学校教員の道を迷っている人もいると思うが、迷っている人はぜひエクスターンシップに参加したほうがいい。思い描いていたものとはまた違う魅力が発見できる。

 

担当の先生方からの言葉です。
「エクスターンシップに行ったからといって、必ず小学校の先生にならないといけないわけではない。でも行けば自分のものの見方や価値観がしっかりしてくる。一番大事なのは、水曜日に君たちが来てくれるのを待っている子どもたちがいるということ。この体験を大切にしてほしい」