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図書館司書を目指す学生が岩瀬文庫にて貴重な蔵書を見学しました

図書館司書資格の必修科目である生活デザイン総合学科「図書館情報資源論」の授業で、多数の古書が所蔵されている西尾市の「岩瀬文庫」を見学しました。
古典籍の扱い方を実習を通して理解することを目的としており、学生は事前に岩瀬文庫の歴史や蔵書などについて調べて参加しました。

岩瀬文庫を紹介する動画を拝見した後、学芸員 青木さんの案内で展示室を見学。

常設展示は劣化の可能性があるためレプリカですが、期間を設けて行っている企画展示は現物が展示されているそうです。
この日は西尾市の名産品である「茶」をテーマにした展示が行われていました。他施設から借用することなく蔵書のみで行えるのは、幅広い分野と時代を越えた蔵書が保管されている岩瀬文庫ならではなのだそうです。

いよいよ貴重な古書を拝見できる閲覧室へ。
荷物をロッカーに預け、時計など引っ掛けてしまう可能性があるものは外し、手を洗って入室します。

まず拝見したのは「後奈良天皇宸翰般若心経」。御奈良天皇による直筆の写経で国の重要文化財に指定されている大変貴重なものです。
紺色の紙に金の文字で書かれています。先日即位された天皇陛下が、皇太子時代に岩瀬文庫を訪れた際にご覧になられたというニュースを耳にした方もいるのでは?

最後は、学生が事前に希望した古書を閲覧します。

閲覧に際して「本は持ち上げず、机に置いて1ページづつめくってみること」「巻子本(かんすぼん)は肩幅以上開かず、見終わった箇所を巻き取りながら見ること」など注意事項を伺いました。

実際に触れることができるため、紙の質感なども楽しめます。
中にはめくるのを躊躇するぐらい破れのあるものもありましたが、双六やぞうぶつ図鑑などは時代を経ているとは思えない鮮やかな絵図に驚かされました。学芸員さんに伺ったところ、保存状態もさることながら、当時の高級和紙は現代の紙に比べて色褪せが少ないそうです。

枕草子が好きと話す学生は、清少納言が書いたものに最も近いといわれる写し(原本は現存していません)を前に「凄い!ここにずっと居られる!」と感動していました。

古字のため読みこなすことは難しいのですが、当時の化粧法などが書かれた「女子風俗化粧秘伝(おなごふうぞくけわいひでん)」に【セミの抜け殻とごま】と記されているのを見て「これは食べるのかな?塗るのかな?」と興味津々の様子でした。

巻子本である「百鬼夜行之図」の展開に夢中になり、気づくと巻き取りが斜めになっていて学芸員さんを少し慌てさせてしまったりもしましたが(笑)、「岩瀬文庫は多くの人に本の魅力を伝えたいという創設者の思いが元になっており、閲覧してもらうことに意味があるので大丈夫です」とおっしゃってくださいました。

目を輝かせながら次々と古書に向かう学生達をみていると、興味深く学んでいる様子が伝わってきました。授業終了後も戻って閲覧していた学生もいたようです。