家政学部のリニューアルについて
AI時代の「生活を経営する学問」へ
本学の家政学部では家政学部のリニューアルを考えています。
変わるのは、単に学科の名前だけではありません。
これからの時代に必要とされる「家政学とは何か」を改めて問い直し、家政学を「生活を経営し、自分の人生をよりよく生きる力を学ぶ学問」として再定義します。
そして、その学びを具体的な実践領域として展開するため、3つの学科を構想中・検討中です。
- こども生活デザイン学科(仮称)
- 健康生活デザイン学科(仮称)
- 生活デザイン学科(仮称)
― 家政とは、「生活を経営する」こと ―
「家政」という言葉の源流には、古代ギリシャ語のオイコノミア(oikonomia)があります。
オイコノミアとは、生活共同体としての「家」を統治し、管理・運営することを意味します。
つまり、家政とは単に「家事を学ぶこと」ではありません。
自分や自分たちが望む生活を実現するために、考え、決め、資源を配分し、実行し、その結果に責任を持ちながら、生活をよりよくしていくこと。
それが、私たちが考える「家政」です。
企業を経営することを「企業経営」というならば、生活を経営することが「家政」です。
衣・食・住、子ども、健康、家族、地域、消費、仕事など、生活にはさまざまな領域があります。
しかし、それらは別々に存在しているわけではありません。
すべてが「生活」という一つの世界の中でつながっています。
だから家政学は、専門分野をただ並べた学問ではありません。
異なる専門領域を「生活」という視点から統合し、人間のよりよい生活を実現するための総合の学問なのです。
― 学部は哲学で、学科は実践領域で ―
今回のリニューアルでは、この考え方を明確にします。
学部は哲学でつくり、学科は実践領域でつくる。
家政学部全体が共有する問いは、「人は、どのような生活を望み、その生活をどのように実現するのか」という問いです。
その問いを、それぞれの専門領域から具体的に探究し、実践するのが3つの学科です。
こども生活デザイン学科(仮称)
子どもは、未来の生活者です。
子どもの発達や教育だけを見るのではなく、子どもを取り巻く家庭、地域、社会、文化、環境などを含めて、子どもの生活そのものをデザインすることを考えます。
「子どもを育てる」だけではありません。
子ども自身が、自分の可能性を広げながら豊かに生きていくためには、どのような環境や関係、学び、生活が必要なのか。
子どもの視点から「生活」を考える学科です。
健康生活デザイン学科(仮称)
健康は、病気にならないことだけではありません。
食事、運動、睡眠、心身の状態、住環境、人間関係、地域とのつながりなど、さまざまな要素によって健康な生活はつくられます。
そこで、健康に関する専門的な知識を学びながら、健康を生活全体からデザインすることを目指します。
「健康のために何をするか」だけではなく、「健康に生きるためには、どのような生活をつくればよいのか」を考える学科です。
生活デザイン学科(仮称)
私たちの生活には、仕事、お金、住まい、衣服、食、消費、地域、家族、趣味など、さまざまな要素があります。
生活デザイン学科では、それらを横断しながら、一人ひとりの人生と生活そのものをデザインすることを学びます。
- 自分らしい働き方を考える。
- 暮らし方を考える。
- 新しいサービスや商品を考える。
- 地域の課題を解決する。
- AIを活用して新しい仕事をつくる。
これからの社会を生きるために必要な「生活をつくる力」を、幅広く学ぶ学科です。
― 3学科を貫くモチーフ「生活をデザインする」―
3つの学科には、共通する言葉があります。それが、「生活デザイン」です。
デザインとは、単にものの形を美しくすることではありません。
「どうなってほしいのか」を考え、それを実現するための仕組みや方法をつくることです。
したがって、生活デザインとは、「どのような生活を実現したいのか」を考え、その実現に向けて生活をつくっていくことです。
子どもの生活をデザインする。
健康な生活をデザインする。
自分自身の生活をデザインする。
対象は違っても、根底にあるのは同じ「家政学」です。
― 「稼ぐ力」「決める力」「暮らす力」―
この3つの力をともに育てることができるのが家政学部の特徴です。
稼ぐ力
自分の能力を仕事や価値に変え、必要な収入を得ながら、自分の生活を経済的に支える力。
経済的自律につながる力です。
決める力
様々な集団の中で自己決定する力・共同決定する力
自己決定したことに対して自己責任 共同決定したことに共同責任
社会の中で自分の意思を形成する力
政治的自律につながる力です。
暮らす力
自分にとっての豊かさとは何かを考え、自分らしい生活文化をつくり、人生を豊かに生きる力。
文化的自律につながる力です。
この三つの力を統合して育てることが、本学家政学部の特徴です。
― AI時代だからこそ、「AIと生活する」―
そして、今回のリニューアルを考える上で欠かせないのがAIです。
本学では、AIを情報系の専門教育の中だけに閉じ込めません。
これからは、誰もがAIとともに働き、学び、考え、暮らす時代になります。
だから家政学部では、AIを単なる「便利な道具」としてではなく、「AIと生活する」という視点から捉えます。
AIを使って仕事を効率化する。
AIと対話しながら、自分の考えを深める。
AIを活用して生活を設計する。
AIと協働して、新しい仕事やサービスを生み出す。
そして、AIに任せることと、人間が自分で考え、決めることを見極める。
AI時代に重要なのは、AIの専門家になることだけではありません。
AIと協働しながら、自分の生活と人生をデザインできる人になること。
それもまた、これからの家政学が担うべき重要なテーマです。
― 男の子にも「暮らす力」を ―
家政学は、女性だけの学問ではありません。
もともとのオイコノミアは、生活共同体を統治し、経営するという考え方でした。
現代では、男性も女性も、自分の生活を自分でつくる時代です。
料理をする。
健康を管理する。
お金を管理する。
住まいを整える。
人と関係をつくる。
仕事と生活を組み立てる。
そして、自分がどのように生きたいのかを考える。
だからこそ、「男の子にも、暮らす力を。」
家事のできる男子になることも、自分の人生をデザインするための大切な力です。
― 「働くため」だけではなく、「生きるため」に ―
これまでの大学教育では、「働くための教育」が重視されてきました。
もちろん、それは重要です。
しかし、人は働くためだけに生きているわけではありません。
働いて、稼いで、食べて、暮らして、家族や友人と過ごし、地域と関わり、自分の時間を楽しみ、人生をつくっていく。
つまり、
働くことも、暮らすことも、人生の一部です。
だからこそ、これからの大学教育には「働くための力」と同時に、「暮らすための力」を育てることが求められます。
家政学は、その両方を扱うことのできる学問です。
― 一人ひとりの人生をデザインする ―
少子高齢化、単身世帯の増加、働き方の変化、人生100年時代、そしてAIの急速な進化。
私たちの生活を取り巻く環境は、大きく変わっています。
これからは、「学校を卒業して、会社に入り、定年まで働く」という一つの人生モデルだけではなく、一人ひとりが自分の人生をデザインしていく時代です。
自分で仕事をつくる。
複数の仕事を組み合わせる。
地域で活動する。
一人で暮らす。
誰かと暮らす。
AIと働く。
AIと生活する。
さまざまな選択肢の中から、自分にとっての豊かさを考え、自分の生活をつくっていく。
そのための学問が、これからの家政学です。
― 家政学を、未来へ ―
明治45年、安城裁縫女学校として始まった本学園は、創立者・寺部だいの「誰でも無限の可能性を持っている」という信念のもと、一人ひとりの可能性を育ててきました。
時代が変わっても、人が生活することはなくなりません。
むしろAIによって仕事や社会の仕組みが大きく変わるほど、
「私は、どのように生きたいのか」
「どのような生活をつくりたいのか」
という問いは、ますます重要になります。
だから、私たちは、家政学を手放しません。
家政学を、未来へ進めます。
― 家政とは、生活を経営すること ―
家政学とは、自分と自分たちの生活をよりよくするために、考え、決め、実践する学問。
その学問を、三つの実践領域で展開します。
こども生活デザイン学科(仮称)
健康生活デザイン学科(仮称)
生活デザイン学科(仮称)
3つの学科が、それぞれの専門性から「生活」を探究し、互いにつながりながら、家政学という一つの総合知をつくっていきます。
そして、その中心にあるのは、AI時代の生活をデザインするという新しい家政学です。
稼ぐ力を。
決める力を。
暮らす力を。
自分の人生を、自分でデザインするために。 本学の家政学部は、これからも「生活」という最も身近で、最も普遍的なテーマから、未来を考えていきます。