愛知学泉大学 家政学部 ライフスタイル学科
私たちは,自分自身がどのように学んでいるかを思った以上にわかっていません。自分自身のことなのに。また,「学習する」と聞くと学校の勉強のことをすぐに思いますが,「学校」だけでなく「学校外」でも多くのことを学習しています。例えば,新しく始めたバイトでの仕事に慣れてきて,最近余裕が出てきたとか,新しい(多くの場合より困難な)仕事をまかされるようになったとかは,まさに学習していることを意味しています。言われると当たり前のことなのですが,これらの学校内外での学習というのを暗黙のうちに区別してしまっていて,関係づけることをしないために,学校外での豊富な学びの経験を学校での勉強に生かすことができず,勉強がつまらなくなってしまうのです。反対にいうと,それらを関連づけることができた人は学校の勉強に自分なりの「意味」を見いだし,どんどんおもしろくなるわけです。学校内外の学習を関連づけられるようになるためには,意識して関連づける(関連づけるよう促す)のが一つの方法ですが,もう一つの方法に,学校の授業自体を外に持ち出すという方法があります。つまり授業は教室の中だけ行われるという考えた方をやめるのです。外に出ると,その場所の雰囲気を肌で感じることができ,これどうなっているのだろう?こうしたらどうなるんだろう?といった疑問や仮説がおもしろいほど浮かんできます。また地域の人たちと関わり,ほめられたり,怒られたりします。仲間と協調する過程で自己主張しすぎたり,しなさすぎたりしてけんかになったりします。そして学校に戻り,教室で授業をすると,外に出た経験が自然に使われます。あのときのあれってこういうことか,そうかあの地域の問題はこの考え方でいくと解けるかもしれない,などと。私たち人間は,本来的には社会の中で,生活の中で,からだの感覚をフルに使って多くのことを感じ,人とのかかわりの中で多くのことを学びます。それこそが人が学ぶということです。生きるということです。家政学専攻の生活スタジオという科目は,授業なのに外に出て,またそれを学校に持ち帰って議論して,また外に出て,というループの中で意欲的な学びが起こるようにデザインされています。