-2023年10月25日(水)更新-


愛知学泉大学並びに愛知学泉短期大学における「生成 AI」の利活用ガイドライン(案)
(学生版)ver1.1

 昨今、ChatGPT 等に代表される高度な「生成 AI」の利用者が急増しており、愛知学泉大学並びに愛知学泉短期大学(以下、本学という)に於いても、2023年7月、学生に対しては定期試験に向けた学生の学修活動における「生成AI」の利活用について、「利用上の留意点」(暫定版)を示しているところです(参考)
 「生成AI」の利活用は、例えば、テニスのダブルス選手権のように一組となって試合に臨み選手間の力量が向上するように、人間の生産性や様々な能力の発揮で、これらを一層高めることを可能とするなどのポテンシャルがあります。
 本学学生にとっては、自学・共学の場における「pisa型学力」である課題解決の統合した学力獲得の学修、さらには卒業後の社会の一員とした活動での課題解決を見据えて、自分の考えを深め、より高度な思考力を身に付け、課題の解決ができるよう、「生成AI」の利活用が大いに期待できると考えられます。
 そこで、本学における学生の皆さんの「生成 AI」の利活用に際して、ガイドラインを作成しましたので、以下に示します。

  1. (1)活用例

  2.  ①長い文章等の要約
    1.   長い文章や記事等を短い文章に要約(制限文字数内)することを得意としており、論述や説明文等の要約などの下書きに使用することができる。
  3.  ②論点の要約・洗い出し・分類
    1.   論述内容の論点について、制限文字数内で要約、洗い出しや分類をすることができる。
  4.  ③文章校正
    1.   書いた文章の誤字・脱字、文法的な誤り等の校正をすることができる。
  5.  ④外国語への翻訳
    1.   作成した日本語の文章を指定した外国語の文章へ翻訳(特に英語)することが高い精度でできる他、丁寧な言い方に言い換える、などニュアンスを調整することもできる。また、他言語を日本語へ翻訳することができる。
  6.  ⑤下書き(草案)の作成
    1.   指定した題名に沿った文章を制限文字数内で作成することができ、文章の下書きに活用できる。
  7.  ⑥創作物の作成
    1.   指定した条件(テーマや情景)に関して、物語やあらすじなどを創作することができ る。
  8.  ⑦自分の考えと正反対の考えを求めるよう指示し、批判的な思考力あるいは信ぴょう性を見抜く力を養うことができる。
  9.  ⑧自学後の学修内容について、フィードバック(点検・評価)を求めることができる。この利活用は、教員以外の手段として有効です。
  10.  ⑨情報収集
    1.   指定した条件(テーマ)に関して、膨大な学習データに含まれる多種多様な情報を基にした網羅性の高い生成物が得ることができる。
  11.  ⑩アイデア創出
    1.   指定した条件(テーマ)に関して、膨大な学習データに含まれる多種多様な情報を基にした網羅性の高い生成物が得られるため、アイデア出しに役立つ。
  12.  ⑪ブレインストーミング
    1.   新しいアイデア創出の思考相手となって、アイデアを発想し、練り、提案することができる。
  13.  ⑫プログラミングの補助
    1.   プログラミングのコード作成は本来得意であり、適切なプロンプト入力により効果的な回答を得ることができる。例えば、Excelを利用する場合、どのセルにどんなデータを入力するか、新たな列の挿入は必要かなど、具体的に指示することで生成物を得ることができる。
  14.  ⑬音声認識ソフトと組み合わせができる
    1.   議事録や記録の作成や文字起こし後のテキストデータから、主要な部分を要約して、読みやすい順序でまとめることができる。会話ができる。質疑応答ができる。
  15.  ⑭拡張機能(プラグイン)を併用できる
    1.   講義動画やその他の動画の要約、またPDF資料の要約ができる。



 以上のような活用例を参考に、学生の皆さんが、例えば、リポート課題に対する「生成AI」を利活用する場合としては、自ら作成した文章を校正する、あるいはアイデアを練ることなどが可能です。また、リポート作成で部分的に「生成AI」の生成物を使用する場合には、使用した箇所については「生成AI」への質問や生成物(回答)の条件を記して、使用したことを明確にしてください。

  1. (2)上手なプロンプト(入力指示)の方法

  2.   入力する際は、自ら想像力を働かせて予測される仮説を立てることが必要です。

  3.  ①入力の情報は、正確かつ具体的に行うこと
    1.  「生成AI」 は行間を読まないので、正確に必要な情報を与える(入力指示:これを“プロムプト”という。)必要がある。例えば、文章の題名(テーマや目的)、重要なキーワード、制限文字数、回答例の個数、説明対象の属性(『誰に向けての説明』)など

  4.   ✕悪い例
    1.  漠然と「あいさつ文を作ってください」と指定すること、誰に向けて、どのような場面でなど不明である。

  5.   〇良い例
    1.  「□□について、アイデアを20例、挙げてください」
    1.  「学泉祭での催しの案内文を 200 文字程度で作ってください。私はクラブの部長で対象は本学学生と一般市民です。催しのテーマは「〇〇〇」です」

    1.   この場合、記号(#)を用いて質問を整理し、さらに制約を付けると、より回答の精度を上げることができる。
  6.     # 制約条件
    1.    ・必要ならば「1.」「2.」「3.」といった形で番号を振る
    1.    ・テーマが分かれる場合には適宜【 】を使う
    1.    ・注意してほしい部分には太字(Bold)を装飾して強調する
    1.    ・挨拶文は「ですます調」
    1.    ・一人称は「〇 〇」
    1.    ・二人称は「△ △」など

  7.  ②質問を重ねることで、出力の精度を高めることができる。
    1.   質問して得られた回答に対して再度質問をすることで、回答の精度をさらに上げることができる。これを繰り返す。
  8.  ③高度な活用例として
    1.  ・表形式での出力も可能
    1.  ・Excel の関数の作成も可能
    1.  ・Excel で重複をチェックする関数の作成も可能

  9. (3)得られた生成物(回答)の利活用

  10.   生成物(回答)については、必ず、皆さんが問いかけの際の仮説に対応した十分な意味(合理性や妥当性)を持っているかどうか、この点を自らが見極める(判断する)ことが何より大切です。その上で、利活用が可能となります

  11. (4)利活用にあたっての留意点

  12.   ①「生成 AI」 の技術的限界(生成物の内容に虚偽が含まれている可能性)
    1.   大規模言語モデル(LLM)を活用した「生成 AI」は、基本的に、ある語句の次に用いられる可能性が確率的に最も高い語句を出力することで、もっともらしい文章を作成していくものです。AI によって生成された内容に虚偽が含まれている又はバイアスがかかっている可能性が考えられます。したがって、出力された内容の確認・裏付け作業を行ない、必ず事実確認(ファクトチェック)を行うことが必要です。
  13.   ②機密情報や個人情報の入力また流出・漏洩、虚偽情報発信の等の可能性
    1.   「生成 AI」への入力を通じ、機密情報や個人情報等が意図せず流出・漏洩する可能性等があるため、例えば、氏名・住所・疾病・財産等の個人に属する情報、また本学の組織情報(人名・学修成績や評価結果、財務情報等、さらに競争上の地位や正当な利益を害する恐れのある情報等)、公にすると犯罪の被害者やハラスメントの被害者となる恐れのある情報等は入力しないでください。
    1.  また、「生成AI」は、個人に関する虚偽の情報を生成する可能性が指摘されており、虚偽の個人情報を生成して利用・提供する行為は個人情報保護法に違反し、名誉棄損や信用棄損に該当する可能性があります。
  14.   ③著作権等
    1.  他人の著作物の利用については、著作権法に定める権利(複製権や公衆送信権等)の対象となる利用(複製やアップロード)を行う場合には、原則として著作権者の許諾が必要となる。「生成AI」で作成した生成物を(ネット)配信・公開する場合は、既存の著作物に類似していないか十分な調査確認が必要です。
    1.   画像「生成AI」を利活用して生成した画像や、『生成AI』で作成された商品ロゴや広告宣伝に使用する行為は、他者が権利を持っている登録商標権や登録意匠権を侵害する可能性があり、この調査を行う必要があります。
    1.  「生成 AI」 の生成物に著作物の内容がそのまま含まれていた場合、これに気付かずに当該出力をレポート等に用いると、意図せずとも剽窃(他人の著作から語句や文章をとり、自分のものとして使用すること)に当たる可能性があります。
  15.   ④授業に於ける著作物の利活用
    1.   本学等、大学での授業においては、著作権法第 35 条により許諾なく著作物 を複製や公衆送信することができるため、学生や教職員が AI を利用して生成したものが、既存の著作物と同一又は類似のものだったとしても、授業の範囲内で利用することは可能です。

  16. おわりに

    1.   本学は、『生成AI』の利活用とその際の留意点については、社会の情勢を踏まえて引き続き適切な対応を図って改善していきます。


  17.  (引用及び参考資料)
    1. ・文部科学省高等教育局 事務連絡「大学・高専における生成AIの教学面の取り扱いについて(周知)」(令和5年7月13日)
    1. ・神戸市生成AIの利用ガイドライン 第1版(令和5年6月21日)
    1. ・武蔵野大学生成AIの利用ガイドライン
    1. ・近畿大学情報学部版 生成系AIに関する学生向けPosition Paper

〇教員版(PDF)

〇職員版(PDF)