伊藤 雅春 教授

いとう・まさはる Itou Masaharu

<プロフィール>                         更新日時:2010/9/21

 

専   門:

1)市民参加によるまちづくりの支援
2)コミュニティを元気づけるデザインの実践と研究
3)まちづくりワークショップの運営技術の開発

担当科目:

コミュニティ政策学入門、コミュニティ設計論、コミュニティ運営実習、
演習、専門演習、卒業研究

E-mail:

m-ito%gakusen.ac.jp
     (%を@に変換してください)

個人URL:

http://homepage2.nifty.com/ookute/


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最近の研究テーマ:

1)まちづくりワークショップによって引き起こされるコミュニティの発達について
2)参加の方法論の多様化による合意形成の意味の変容について
3)新しい公共を実現する協働と自治のあり方について
4)地域の自治活動が生き生きと行われるための条件について

論文・著書:

「まちづくりの新しい理論」(共訳)鹿島出版会 1989年
「参加のデザイン道具箱」(共著)世田谷まちづくりセンター 1993年
「市民社会とまちづくり」新時代の都市計画2(共著)ぎょうせい 2000年
「まちづくりワークショップQ&A」大久手計画工房 2002年
「対話による建築・まち育て 参加と意味のデザイン」(共著)
        日本建築学会意味のデザイン小委員会編著 学芸出版 2003年
「参加するまちづくり  〜ワークショップがわかる本〜」
        伊藤雅春+大久手計画工房 OM出版 2003年
「まちづくり教科書第 3巻 参加による公共施設のデザイン
         〜公共施設のデザインとワークショップ〜」(共著)
           建築学会まちづくり支援建築会議 丸善 2004年
「生活視点の高齢者施設  〜新世代の空間デザイン〜」(共著)
           社団法人シルバーサービス振興会編集 中央法規 2005年
「乳児期にみる行動様式の獲得過程と生活空間に関する建築計画的研究」
            名古屋工業大学提出修士論文、1980年
「建築・まちづくり計画における住民参加手法としてのワークショップの研究
          〜コミュニティの自律化をもたらす計画論〜」
            千葉大学提出博士論文、2001年


所属学会:

日本建築学会、都市計画学会、コミュニティ政策学会


趣味:

サザンを聞きながら原稿を書くこと
月に一度旬の素材をテーマにしたパスタを作ること
お酒を飲みながら大きな声で議論をすること(たんなるオヤジ?)

コメント:

コミュニティは、昔から存在する人間集団の関係の有様です。昔ながらの地域社会の関係性が縮小する一方で、地域で解決しなければならない問題はますます増えてきています。ボランティアや市民活動という新しい社会の活力が生まれてきていますが、地域で話し合ったり、地域の意見を作り上げていく方法の工夫が日本では進んでいません。基本的には人間関係の問題なので、ここに制度だけではなくコミュニケーションを円滑にし、組織が自ら育ってくことを支援することができる技術を持った人材が必要になります。こうした技術は行政職員や地域組織のリーダーになるような方に今後最も必要とされる能力の一つだと思います。こうした問題を実践の場を通して学んでいきたいと思います。



教員ブログ:

2009/6/30
学泉ファーマーズマーケット開催報告: 
 大学と地域社会の出会いの場として、学泉ファーマーズマーケットは昨年8月から始まりました。大学近郊の農家の方に新鮮で安心な農作物とともに農業に対する思いを届けてもらっています。環境に対する思いや国際交流に対する思いなど、モノを仲立ちとしたコミュニケーションの場として続けいければと思います。

●第一回ファーマーズマーケット
販売品目: じゃがいも、たまねぎ、赤たまねぎ、甘夏みかん、グリンピース、しいたけ、ウコン粉末、唐辛子粉、にんにく、米(コシヒカリ、大地の風、)、たまご、よもぎもち、花苗

一回目を終えて: 2年目を迎えるファーマーズマーケットの課題は、月一回の定期開催です。とりあえず学舎内の教職員と学生を対象に、開催場所、開催時間、品数など、試験的に実施しました。大学のキャンパス内で昼休みに行うということで、学内の目につきやすい場所で開催しました。売り上げは意外に伸び、用意した作物の9割ほどが売れました。今回のファーマーズマーケットでは、韓国からの留学生4人が活躍しています。

(左)今年度最初のファーマーズマーケット、単独開催にどれだけ売れるのか少し不安。
(右)三好町農村生活アドバイザーの方と学泉大学の学生たち(韓国からの留学生)
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(左)2年の男子学生がお手伝い。金髪の彼は、実は子どもの頃から朝市を手伝っていたとか・・・・
(右)なんと!ほとんど売れてしまいました。
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●第二回ファーマーズマーケット

販売品目:じゃがいも、たまねぎ、きゅうり、なす、枝豆、とうもろこし、甘夏みかん、たまご、 花苗

二回目を終えて:
第2回は前回の反省を活かして、開催場所をもう少し人目につきやすく気持ちのよい木陰に変更しました。開催時間前から人だかりができて、短い昼休み時間にあっという間に売れてしまうという感じです。もう少しのんびりコミュニケーションの時間が欲しいところですが、工夫が必要なようです。学生がもう少し興味を持つような品物が欲しいところですが、これからの課題としておきましょう。

(左)今回は木陰で開催。
(右)学長先生も買いに来てくれました。
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(左)李先生大活躍!実は、まだ開始時間前です。
(右)留学生の4人は大忙し。韓国語のブログもつくりました!
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(左)先生方もたくさん買ってくれました。
(右)あっという間に賑やかな時間はおしまいです。
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(11)今日の売り上げはどうだったかな?
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第8回シンポジウム報告
『多文化共生社会におけるコミュニティの役割と課題
     〜豊橋市における外国人児童・生徒の生活支援活動を通して〜』
日時:2009年3月28日(土) 13時30から
会場:豊橋市役所講堂
愛知学泉大学コミュニティ政策研究所所長 伊藤雅春
 豊橋市は全国でも浜松市についで2番目に日系ブラジル人が多い都市である。今回のシンポジウムでは豊橋市を対象として、2006年、2007年と調査をされた北海道大学大学院教育学研究科の小内透先生を問題提起者としてむかえ、公立小中学校の親子、ブラジル人学校に通っている子ども達とその親御さんの両方を比較し、そこから見えてくる課題について講演していただき、豊橋市の現状に即した討議を行った。
 加えて、事例報告として、NHK名古屋編成計画の佐藤茂樹さん、岩屋住宅自治会長の鈴木豊さん、豊橋市でボランティア活動をしているCSN豊橋の榎本早菜絵さん、NPO東三河ハートネットで地域と一緒にワークショップをやりながら共生の問題について取り組んでおられる柳原伸行さん、豊橋市の国際交流課の本間基次さんに簡単な報告をお願いし、全国的視野から豊橋の現場の方までを交えて、パネルディスカッションを行った。シンポジウムを開催するにあたり、豊橋市には後援を含めて事例報告者の紹介等、大変お世話になった。この場を借りて感謝の意を表したい。
 小内先生の講演の要点は以下のようなことであった。
1)1990年6月に新しい出入国管理法が施行されて以降、急速に外国人が増えた。2007年の統計で見る限り、中国、韓国朝鮮、そして3番目がブラジルとなっている。現在のブラジル人の31万人という数字は、日本からブラジルに移民した人達の数、戦前から戦後にかけて、全部合わせて25万人を上回る数字となっている。
2)ブラジル人は家族でやってくるという特徴があり、すでに2006年の段階から14才以下の人口では、外国籍の中でトップになっている。ブラジル人の子供の場合、公立学校に6割、外国人学校に2割、残りが不就学というのが実態である。
3)ブラジル人の子どもたちの現状について2つの傾向が見られるようになってきているという指摘があった。「分化」と「分離」である。分化するというのは、公立学校に通う子どもたちが日本人化していくという指摘である。分離するというのは、同じブラジル人国籍の子ども達にも関わらず、交流する機会が非常に限られて別の世界に生きているという指摘である。
4)最後に、ブラジル人の高学歴指向に着目し、トランスナショナルな国を超えて行き来しながらでも教育がつながっていくような仕組みの必要性が指摘された。
 事例報告として、NHK名古屋の佐藤さんからは、昨年4月から戦略的に取り組んでいるいくつかの在日ブラジル人向けサービスの紹介があった。FM放送のFMトワイライト、ポルトガル語で提供している情報のリンク集(ポータルサイト)の立ち上げ、静岡県、三重県、岐阜県、愛知県の東海地方を対象としたラジオ第2放送のラジオジャパン・フォーカスというポルトガル語の放送などである。その他にラティーノ・ノドジマンという、南米出身者が日本の歌を歌うというイベントの紹介があった。日本人もブラジル人も享受出来る機会、互いの違いというものをきちんと理解を深める場、もしくは日本人もブラジル人も共に感じたり楽しんだり出来る機会を作ることがNHK名古屋のサービスの理念であることが強調された。一方で、単体でNHKの体力だけでこういうサービス、共生の場を図っていくのは非常に限界があるという正直な感想もあった。
 岩屋住宅の鈴木さんからは、現状の所帯数200のうち、70所帯が外国人で占められていることが報告され、その中で取り組んできた地域共生懇談会、学生ボランティアCSN豊橋の活動と地域の活性化、岩屋住宅の壁面の落書き消しの事例報告があった。落書き対策として壁画を描いたプロジェクトは、自治会、CSN豊橋、豊橋市住宅課の協働によって実現したものである。地域の塗装業者もこの考えに賛同し、資材を無償で提供したことが報告された。
 榎本さんからは、浜松学院大学から始まったCSNが、現在、豊橋、静岡、名古屋、浜松に4支部を持ち、外国人の子どもたちの学習面や精神面、また生活面でのサポートを目的とした学生のボランティア活動であることが紹介され、CSN豊橋は、愛知大学や豊橋技術科学大学の学生を中心に、主に岩田団地と岩屋住宅の集会所を拠点として学習指導と課外活動の二本柱で活動を展開していることが報告された。課外活動では、団地の花壇でひまわりやトマトを栽培したり、ゴミ箱を設置したり、多くの住民に活動を見えるようにする工夫がすばらしい。「子ども達の意識が変わっていったら大人ももちろん、子どもの親がまず変わって、地域がどんどん変わっていくという連鎖になって、子どもを通して大人の意識も変えようと考えているわけです」という榎本さんの言葉は、会場全体に共感の輪として広がっていった。
 東三河ハートネットの柳原さんからは、外国人共生支援住宅団地モデル事業で行ったワークショップの事例が報告された。豊橋市役所国際交流課の本間さんからは、教育現場0527への人員配置を中心とした豊橋市の取り組みが報告された。
 討議の中では、小内先生から自治会の仕組みの中に外国人が必ず入るように、国際部を作った岩田団地会長の小池さんのアイデアの紹介と、これを実行した決断力を高く評価する発言があった。最後にパネリストに当事者であるブラジル人の参加がなかった点について課題を残したという指摘をいただき、シンポジウムは無事終了した。
 以上が、シンポジウムの概要である。いつものことではあるが、具体的な事例の中に非常に豊かな解決の糸口があることを今回も学ぶことができた。とりわけ、豊橋市の場合にはCSN豊橋の学生の方の活動報告が印象に残った。その意味ではこうした問題に対しても、コミュニティの可能性は大きいことを改めて実感することができたというのが企画者としての正直な感想である。







「園田高弘邸の継承と活用を考える会」について
                                     伊藤雅春
私たちのまちで、「園田高弘邸の継承と活用を考える会」が始まったのは、昨年の夏のことである。高名なピアニスト故園田高弘氏の自宅で、毎回若手ピアニストをお招きし、50人ほどの聴衆がミニコンサートを楽しんでいる。ピアニストの選定と依頼は、園田春子夫人にお願いしている。実は、園田邸は、1955年にこれもまた著名な建築家、吉村順三氏の設計になる建物である。その後20年ほど前に増築され、コンサートはそちらの空間で行われている。毎回30分ほどの演奏と建築にまつわるミニ講演を楽しむ時間は、本当に贅沢なものだ。
 この会の目的は、やや複雑で単純にコンサートを楽しむことが目的ではない。日本の代表的な近代建築の継承と活用の可能性を何とか考えたいという思いで発足している。個人所有の不動産を地域のネットワークの中でなんとか継承していく方法を考えようというわけである。現在の日本では、通常の不動産流通の中では、建物の価値はほとんど認められていない。行政による購入の可能性もほとんどないと考えた方が良さそうである。
 こうした中で地域の知恵を集めて、地域の財産としてこの価値の継承をどう実現するかが、この会の課題である。僕たちは、実はこの活動を通して、まちづくりNPOのアセットマネージメントの方法論を模索したいと考えている。開かれた不動産活用の事業化がまちづくりNPOの新しい事業分野を拓くのではないか。ここにも新しい公共の種があると感じてのことである。 ちなみに次回のコンサート(6月7日の予定)は、オランダよりフォルテピアニストの平井千絵さんを招いて開催する予定である。平井さんは、園田高弘氏に師事され,その後オランダ、デン・ハーグ王立音楽院古楽器科およびアムステルダム音楽院古楽科にてフォルテピアノとチェンバロの研鑽を積まれ、広く国内外で活躍されているかたである。演奏の後は、拙会の発起人でもある野沢正光氏が、湘南茅ヶ崎の熊澤邸(旧寺田邸 1967年吉村順三設計)を紹介しつつ、園田邸と住宅建築の保存と継承について講演する予定。

第3回のコンサートの様子
sonoda


2009/4/15:
「みどりのコモンズ」を創り出す

 私の所属しているNPO法人玉川まちづくりハウス(以下ハウス)が活動している地域は、世田谷区の中でも良好な住宅地です。しかし土地売買と建て替えのたびに宅地の貴重な緑は失われていく現実があります。この事態を何とかするため、宅地のみどりを地域の共有財産=コモンズと考え、“みどりを次代に継ぐ”仕組みをつくろうというのが「みどりのコモンズ」の活動です。2007年度、その第一歩として玉川田園調布バス停前に残っていた故宮脇壇氏設計の建物の建て替えに際し、建物の保存はかなわないとしてもせめて庭にあったケヤキを残して欲しいというご近所からの声に応えて、庭のケヤキを残すための寄付金を集める活動を始めました。今年度、移植費用目標額100万円を達成することができました。工事中にケヤキを移植した際に世田谷区の新しい制度、樹木の移植費用助成金を申請し、栄えある第一号にも選ばれました。新しい建物はケヤキの木をシンボルとしてKEYAKI GARDENと名付けられ、2008年10月に竣工しました。
 また、コモンズの考え方を理解していただきご寄付を集めるために、さまざまな分野の先生をお招きし、6回にわたる連続講座を開催し、たくさんの方に参加していただきました。この活動に対して2008年5月、セブンーイレブンみどりの基金より助成金をいただくこともできました。今後もこの基金の仕組みをみなさんとともに考え活かしていきたいと思います。こうした活動がこの町ならではの“センス・オブ・コミュニティ”を自然に育てていくことにつながっていることを信じて。

けやき

2009/4/7:
講義の公開について 3年生を対象とした「コミュニティ設計論A・B」を近隣自治体の職員の方を対象に住民参加のまちづくり、ワークショップによる合意形成論という位置づけで研修プログラムとして、無料公開することにしました。春期のコミュニティ設計論Aは、『まちづくりワークショップ論』と称して、全国各地で実施したワークショップの豊富な事例を通して、まちづくりワークショップの意味やプロセスデザイン、プログラムデザインのノウハウのすべてをお伝えします。秋期のコミュニティ設計論Bは、『公共空間論』と称して、分権社会が進む中で、市民社会が生み出してきた新しい『まちづくり』概念の具体的な様相を紹介する内容です。どちらの講義も一回でも聴講可能です。内容の多くは、国土交通大学校や市町村アカデミーなどの研修機関で、「住民参加のまちづくり」や「合意形成の手法」、「協働のまちづくり」等としてお話ししているものです。自治体によっては、研修として扱って頂いている所もあるようですので、関心のある方は是非お問い合わせください。
1 場 所: 愛知学泉大学コミュニティ政策学部
 豊田キャンパス 8号館103号室 豊田市大池町汐取1(駐車場使用可能) http://www.gakusen.ac.jp/u/univ/shisetsu.html

2 講義時間等
  【前期】コミュニティ設計論A
   原則 月曜日 9:30〜11:00(14回目のみ木曜日同時間)
 【後期】コミュニティ設計論B
  原則 木曜日 9:30〜11:00(1/14休講)

3 担当講師(連絡先)  伊藤 雅春 氏
  愛知学泉大学コミュニティ政策学部教授
  電話 0565−35−8354(直通)
  FAX 0565−35−1677
  E−mail m-ito@gakusen.ac.jp

4 参加希望講座連絡方法等
 下記カリキュラムに従い、希望講座がありましたら、講座開講日前日正午までに同大学のコミュニティ政策研究所までご連絡ください。
電話 0565−35−7031(担当:鈴木)

[コミュニティ設計論A]
第1回  ねこじゃらし公園づくりワークショップ
講義の目的と全体の流れを説明します。住民参加によるまちづくりワークショップの概要を説明します。

第2回  篠崎西部地区まちづくりワークショップ
区画整理事業のまちづくりワークショップの事例を紹介します。

第3回  上沢二丁目公園づくりワークショップ
公園づくりの事例を通してまちづくりワークショップの具体的なプログラムについて紹介します。

第4回  生野町吉川邸再生プロジェクト
保存のまちづくりをテーマにしたワークショップを紹介します。

第5回  みんなでつくる三愛ホームワクワク市民会議
特別養護老人ホームの事例を通してワークショップによる合意形成手法のプロセスを検証します。

第6回  大和市市民自治区準備型ワークショップ
まちづくりワークショップによるコミュニティの組織化を考えます。

第7回  高竜地区魅力づくりワークショップ
中心市街地の活性化におけるワークショップの可能性を考えます。

第8回  調布保谷線環境施設帯整備検討協議会
道路計画のワークショップにおける自治体の役割を考えます。

第9回  生ゴミダイエット大作戦!ワークショップ
環境共生住まい講座
環境共生のくらしづくりにおけるワークショップの可能性を考えます。

第10回  町田市新市庁舎基本計画ワークショップ
自治体の規模の違いによる合意形成プロセスの違いを考えます。

第11回  丸池復活プランづくりワークショップ
公園づくりのワークショップから始まった10年間のプロセスを通して、公共空間の地域共同管理が育む「コミュニティ感覚」について考えます。

第12回  宮城野文化センター物語を考える集い
合意形成手法としてのデザイン・ランゲージの可能性を紹介します。

第13回  印西市市民参加条例ワークショップ
多様な分野に広がるまちづくりワークショップの可能性を紹介します。

第14回  大和市新しい公共を創造する市民活動推進条例ワークショップ
ワークショップによる条例づくりと、条例が生み出した協働のまちづくり制度について検証します。
 
[コミュニティ設計論B]
第1回  自分の家からはじまるまちづくり
公共性は、コミュニティを考える場合に重要なキーワードの一つとなっています。『自分の家からはじまるまちづくり』から考えましょう。

第2回  都市計画からまちづくりへ?(歴史編)
都市計画という考え方の発生と都市計画がまちづくりと呼ばれるようになってきた背景について理解しましょう。

第3回  都市計画からまちづくりへ?(制度、条例編) 都市計画で規定されている規制内容の実際と住民主体のまちづくりに活用できる地区計画制度の考え方について理解しましょう。

第4回  保存のまちづくり
保存のまちづくりのルーツは、妻籠や足助にあります。私たちにとって身近な地域から全国に広がった保存のまちづくりについて紹介します。

第5回  福祉のまちづくり
地域福祉は地域コミュニティづくりそのものであると言われます。福祉という切り口からまちづくりを考えてみましょう。

第6回  安心・安全のまちづくり
防犯パトロールも具体的な課題によって成立するコミュニティづくりといえます。安心・安全はみんなにわかりやすい入り口の1つです。

第7回  ファーマーズマーケットによるまちづくり
ハードではなく、コミュニティの再生からまちづくりを考える具体的な手法としてファーマーズマーケットの可能性を考えます。

第8回  公共交通とまちづくり
協働のまちづくりの具体的な事例として、コミュニティバスを中心とする公共交通の問題を考えます。

第9回  サステナブルなまちづくり
サステナブルはまちづくりのキーワードの一つです。この言葉を手がかりに、コミュニティや公共性という問題について考えます。

第10回  コミュニティデザイン論
アメリカで始まったコミュニティ・デザインという思想は、コミュニティ・オーガニゼーションの実践論であることを検討します。

第11回  コモンズの発見〜コミュニティの居場所づくり〜
都市の中には様々な公共空間が拡大しつつあります。『コミュニティ感覚』を育む試みの先に何があるのかを検証します。

第12回  コレクティブハウジング論
現在の日本において、新しい暮らし方を提案しているコレクティブハウスは、コミュニティを考えていく場合に大いに参考になる事例です。

第13回  生活の社会化と公共施設の運営管理
公共施設の運営管理を市民グループが担うことによって、新しい公共概念を生み出そうとしている事例を紹介します。

第14回  まちをマネージメントする
地域の問題解決能力を地域の運営力すなわちマネージメントとして捉え、その多様な活動を具体的に考えます。


2009/4/4: 
書評「市民的地域社会の展開」檜槇貢 著    日本経済評論社
愛知学泉大学コミュニティ政策学部 伊藤雅春

本書を書いた意図について、檜槇氏はあとがきで「地域社会は無意識では、官の地域社会として運営されている。それを意識的に確認してコミュニティ、『市民的地域社会』として問い直し、つくり直すことだ。本書ではそう言いたかった」と書いている。現状分析にとどまらない社会変革を見据えた姿勢は、読む者の心を惹きつけ放さない魅力と説得力に満ちている。檜槇氏の経歴を拝見すると、(財)日本都市センターを経て今日にいたっている。シンクタンクで培った、分野を超えた幅広い知見と現場体験に裏打ちされた時代認識によってまとめられた労作であるといえるだろう。序章「課題としてのコミュニティ支援」、第1章「近隣社会における組織の解体と再生」、第2章「市民社会のコミュニティ活動の歴史的動向」は圧巻である。とりわけ市民地域政策の6つの源流(@コミュニティ論、A町内会・自治会の研究、Bまちづくりの研究、C市民活動のうねりに関する研究、Dボランタリー・アソシエーションの研究、E市民的政策思考論)の整理は、実に的確にバランスよくまとめられており、地域政策やコミュニティ政策を学ぶ学生にとって必読の書として是非推薦したい。
 檜槇氏が提起する「運動型アソシエーション」の活動のダイナミズム、「市民的公共圏」の重層的な形成による「新しい近隣」の構築、「市民のポリティクス型政策思考」によって生み出される「市民的公共性」と「新しい公共」の位置づけ、支援機能としての「エンパワーメント」への注目など、すべてが今日的で重要な問題であり興味が尽きない。
 近隣社会に対しても「近隣社会は市民的公共圏の重層的形成によって、着実に今日的な意味での市民社会の基礎的単位として構築されつつある」という檜槇氏の認識は同感できるところである。こうした認識の延長線上には、生き残ることができる町内会自治会と生き残ることができない町内会自治会という問題が隠されているのではないだろうか。第4章「生活重視の市民的地域政策の論拠と政策」において展開される「サイエンス型政策思考」から、「市民のポリティクス型政策思考」へのパラダイム転換は説得力のある内容である。とりわけ、ポリティクス型政策思考がなぜ参加を含むプロセス指向となるかわかりやすい説明がなされており、改めて認識することができた。「新しい公共」に対しては、肯定的なとらえ方と否定的なとらえ方が混在する中で、「市民的公共性」という概念を提起することで積極的な意味づけを可能にしている点を評価したい。さらに、第5章「コミュニティ支援機能の構図」で提起されているコミュニティ支援のありかたについて、問題は、当事者意識の回復と自己組織力の拡大、すなわちエンパワーメント可能なコミュニティ支援であるという指摘も大いに共感できるところである。
 全体として学ぶことの多い著作であることを前提に、二つばかり不勉強な読者としてよく理解できなかった点を指摘して、私自身の今後の研究課題としておきたい。第1点は、参加と協働のまちづくりと市民的地域政策をめぐってである。第4章に「本章の主題としての市民のポリティクス型政策思考を核とする生活重視の市民的地域政策は、後者の側面の社会を効率的に運営するという枠組みのものではなく、前者の側面としての自治体行政に係わるものと認識したい。市民的公共性は自治体行政との連携によって具体化するものであるから、後者の側面において対応すれば、住民・市民の政策的特質の多くを失ってしまいかねない。それに対して、前者の側面によるアプローチは、自治体行政そのものの活性化をもたらすものと思われる」というくだりがある。ここで、前者として「中央と地方の関係に規定された地方自治の主体としてのもの」後者として「地域経営の中心として対象とする区域の社会を安心安全で、かつ効率的にマネジメントするというもの」「実際の地域政策は、後者の側面において行われるもので、行政上の資源を動員して組織的計画的に行われることが多い。そこでは、市民的地域政策は、自治体行政の政策形成過程における住民サイドからの参加という位置づけであって、参加と協働によるまちづくりとして進められている」とされている。協働について檜槇氏は、「行政と住民は別個の政策主体として展開し、協働の関係形成の運動の下で公共的な営みが発見されるようになったのである」とも述べているので、基本的に否定的ではないことは了解できる。行政に絡み取られた参加と協働のまちづくりの領域に市民的地域政策は封じ込められるべきではないという指摘として理解しておきたい。確かに参加と協働のまちづくりは全国各地で進められているが、市民的公共性に対する理解には差がある。わかりやすい例として、協働事業提案制度の運用の場面で、市民提案を自由に認めている場合と認めていない場合がある。これなどは、市民のポリティクス型政策思考を育てる協働事業提案制度であるかどうかの違いとして理解すべき問題であろう。しかし、それでも尚、私が疑問に思うのは、そうであっても協働のまちづくりの実践は、行政を変え「新しい近隣」を生み出す有効な機会となりうるのではないかという思いである。
 第2点は、檜槇氏の市民的地域政策形成の産出の構造を支える経済的なしくみが見えてこないという点である。運動型アソシエーションの活動原理を強調するあまり、官僚化する恐れのある組織論を避けた展開は理解できるが、コミュニティ運営やコミュニティ・シンクタンクの活動にコミュニティビジネス等の視点も含めた地域政策学の具体的構想を知りたいところである。 いずれにしても、自治体行政の大きな変革の渦中に身を置き練り上げられた、価値ある地域政策学の提案の書であることに間違いはない。同時代を生きてきた者の一人として、大きな共感と期待を込めて推薦したい本の一冊である。  
2009/3/22:
「八幡小学校での授業−『まちづくりリテラシー』ということ
 玉川田園調布防犯パトロール隊として、世田谷区八幡小学校の4年生2クラスの子どもたちを対象に授業をさせて頂きました。この授業は、「地域の絆再生支援補助金補助事業」として提案したものです。小学校としても時間のない中、一方的なお願いにもかかわらず、千葉校長先生の理解を得ることができ、3月22日に前田さんと伊藤とで45分間の時間を頂き実現したものです。
 この授業は、これまで5年間継続してきている防犯パトロール隊の活動について、小学校4年生にもわかるようにできるだけ客観的に伝えたいという思いから提案したものでした。実際に、60人あまりの子どもたちの前に立ってみると、4年生というのは意外と大人だなというのが正直な感想でした。配付した資料やスライドを見つめる目は真剣そのものです。担任の先生からは、事前にわたしたちがなぜ防犯パトロール活動を始めようと思い、どんな思いで続けているのかを正直に伝えてくださいといわれていました。
 前田さんは、小学生の子どもたちが、自分の町に対してできることとして、4年生にもなったら警察が教えている『いかのおすし』のような逃げではなく、「出会った人に自分から挨拶をするという積極的な行動」をして欲しいと話しました。僕自身は、自分のまちが自分の部屋のように自分たちのものとして感じられるようになるにはどうしたらよいかを伝えたいと思ったのですが、簡単ではありません。「自分がしたいことを自由にすることができるまち。一人でできることではなくて、多くの人たちとしかできないことを自由に提案し、実現することができるつながりのあるまちが、自分たちのまちだと感じることができるのではないか。そういうまちなら、それぞれの人が自ら責任をもって守っていくことができるのではないか。そんな思いで防犯パトロールを自らやっている」ということを伝えたかったのです。思いはあっても、小学校4年生にも理解できるように話すことができなければ、きっと多くの人には伝わらないのではないかというのが、今回の経験から僕自身が学んだことです。ハウスの活動をもっと理解してもらう努力、わかりやすく伝える語り口を身につけること、まさにこうした『まちづくりリテラシー』とでも呼ぶべき事が必要とされているのだとの思いを強くしました。
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2009/2/21:
「愛知学泉大学コミュニティ政策研究所・安城市民会議有志による 映画「シロタ家の20世紀」を観る会 」 今年度は、コミュニティ政策研究所シンポジウムとして、2月21日(土)に安城市民会議有志との共催という形で「映画『シロタ家の20世紀』を観る会」を開催した。
 映画は、レオ・シロタという日本の音楽文化に深く関わったピアニスト一家の歴史を甦らせることによって、平和というものと日本国憲法というものを改めて考える視座を与えてくれる内容である。ドキュメンタリー映画のもっている美しさと力強さを教えてくれる映画でもあった。上映前に行われた監督挨拶においては、この映画が奇跡とも言える物語を持って生み出されたものであることが印象深く語られ、映画に対する興味を更に大きなものにしてくれた。
 藤原監督の前作「ベアテの贈り物」が、新憲法の草案作成に関わって、男女平等の条文(現在の24条)を書いたベアテ・シロタ・ゴードンさんを主人公とするドキュメンタリーであったのに対し、今回の映画は、シロタ家という戦争の時代に翻弄されたユダヤ人一家の歴史を通して、より深く平和の問題を描き出した作品となっている。そのことは、映画に寄せた監督自身の「20世紀の戦争や迫害で理不尽に生命を亡くしたすべての人、国籍を問わず、敵も味方もなく、全世界の人たちへのレクイエムと思って作りました」という言葉に簡潔に表現されている。
 会場には、安城市で活動している市民を中心に200名程の方が集まった。最初に監督より簡単な挨拶としてこの映画の生み出された経緯とこの映画にかける思いが話された。今回のシンポジウムは、学泉大学の「市民・コミュニティ・憲法」研究プロジェクトが担当した企画であるが、以下の3つの意味において、当を得たものであったと思う。
第一は、藤原監督は、初めての長編である「杉の子たちの50年」(1995年)を始め、「ルイズその旅立ち」(1997年)など、徹底した市民感覚によって問題を追及しているドキュメンタリー映画作家であること。第二に、今回のシンポジウムの実現自体が、藤原監督が暮らす世田谷の地域コミュニティの中で生まれた出会いと安城市民会議に集う人びとの安城のコミュニティ力によって実現したということ。第三に、映画のラストシーンで紹介された、スペイン内乱のはじまりの地、カナリア諸島、グラン・カナリアのテルデ市のヒロシマ・ナガサキ広場にある、スペイン語で書かれた日本国憲法9条全文の碑が、「永遠の平和」の実現と、日本国憲法を静かに訴えシンポジウムが終了したことである。いろいろな意味で新しい可能性を開くシンポジウムであった。