コミュニティ政策学部TOP

 ご入学おめでとうございます。私たち教職員一同、みなさんのご入学を心より歓迎いたします。

 気温変化の激しい日々が続いていますが、学舎の桜の花は皆さんの入学に合わせて咲きほこりました。

 コミュニティ政策学部は、日本で初めて1998年に発足しました。学部が追究するコミュニティ政策学は、地域社会の諸問題を解決し、地域発展のための計画と方策を総合的に深めていく学問です。地域社会には、自然や生活環境問題、高齢者や児童の福祉問題、地震などの災害にいかに備えるかなど、多くの課題が存在します。

 一つ事例を挙げます。先月25日発生した能登半島地震です。新聞報道(産経2007・3・29)は「震度6強を記録した石川県輪島市門前町で全壊44棟、半壊96棟と最大の被害に見舞われたが、倒壊家屋による死者、行方不明者はともにゼロだった」と伝えました。また「高齢化率約47%の町が、地震発生から数時間ですべての高齢者の状況を把握し、重傷4人、軽傷11人と人的被害を最小限に食い止められた。その理由は、門前町独自の「高齢者マップ」の存在があった」と伝えています。
 当初石川県の指示で作成された「高齢者等要援護者マップ」に、合併前の旧門前町の健康福祉課長が工夫を加え、その後も町内の民生委員が毎年末に調査・更新を続け、マップの精度を上げてきたとのことです。
 このマップを活用して町内の高齢者宅を戸別訪問し、体調や家の損壊程度を確認しながら公民館などの避難所に誘導し、地震発生から約4時間20分後の午後2時には高齢者全員の状況が把握できたと言います。

 この事例から、より良いコミュニティの形成には相手のことを思いやる強い意思とその思いを具体的に表現する手法と、それを担う人物がいなければならない、そしてそれは一人の人物によるのではなく、多くの人々が協働する仕組み(システム)を構築しなければならないなど、コミュニティ形成に掛かる幾つかの要件が抽出できます。

 学部の授業では、地域社会や地方行政の仕組みと運営、環境・福祉・スポーツなど、幅広い学習を基礎として学びます。それぞれの授業は学生による評価をもとに改善を重ねながら進められています。入学後のフォロー体制も一層強化されていますし、地域社会や各現場での実習、学外研修(国内・海外)などに取り組んでおります。

 本学部で学ぶことにより、みなさんは、地域・企業・行政などのコミュニティのなかで共に生きていく社会的な力を身につけ、多様な問題への対応能力を獲得することができます。私たちは、こうしたコミュニティの担い手となる人材を「コミュニティ世紀のプロデューサー」と位置づけ、養成しています。また、自治体・地域・企業などによって取り組まれる「まちづくり」の支援にも積極的に貢献しています。

 これまで、企業・公務員・各種資格の取得など、学生の進路の開拓に力をいれてきた結果、高い就職率を達成しました。本日、入学されたみなさん一人ひとりが、しっかりした学生生活を終え、4年後、立派な社会人として雄飛されるよう、私たち教職員は一丸となってサポートして参ります。

 先月の卒業レセプションでみなさんの先輩たちが見せたあの晴れやかな笑顔が、いま、鮮やかに蘇ります。私はあの感動を共有できたことを誇りに思います。そして4年後の感動はみなさんがもたらしてくれると信じています。

 最後になりましたが、私たちの学部は、地域社会と大学を結ぶ役割を果たし、学生の成長と真剣に向き合いながら、教育と研究の充実を図って参ります。保護者の方々のご理解とご協力をお願いして、挨拶を終ります。



 コミュニティ政策学部TOP




コミュニティ政策学部長 明瀬政治
2007年4月5日 入学オリエンテーション
         学部長あいさつ