2年生必見! 教務委員会
3年次選択必修科目の履修登録
このニュースが発行されるときは,2年生は3年次選択必修科目の第1次登録が終わっていることでしょう。いま,何をしなければならないか,すでに配布している履修登録に関する資料や『コースガイド』『学習の手引き』をよく読んで確認しておいて下さい。以下にその概要を紹介しておきます。
●3年次選択必修科目は,春・秋にそれぞれ1科目を選択する。
3年次に設けられている以下の選択必修科目は,必ず履修しなければなりません。履修しなければ卒業できないことになる科目です。
情報処理実習(1・2),コミュニティ設計実習(1・2),コミュニティ運営実習(1・2)の3科目があります。そのうちから1科目を選択し履修登録します。情報処理実習とコミュニティ運営実習には複数のクラスがあるので,希望するクラスを選択します。
春と秋で違う科目を選択することができます。ただし,同じセメスターに2科目を選択することはできません。また,前期・後期を連続して履修することが望ましい科目・クラスがあります。『コースガイド』等をよく読み,これからどのような学習・研究をすすめるのかを考えて各自の目標にそった選択をして下さい。
●履修登録は,春・秋にそれぞれ行います。
春の登録は,この12月12日(水)から14日(金)の間に第1次登録(第1希望)が行われました。その結果は12月17日(月)に発表・掲示します。各自で必ず結果を確認してください。
第1次登録で決まらなかった人は,登録可能な科目・クラスとその人数の掲示を確かめて教務課窓口で第2次登録を行います。それでも決まらなかった人は,同じ要領で第3次登録を行います。日程を確認して、履修登録に臨んでください。
4月はオリエンテーション後すぐに授業が始まります。登録期間が限られているので,必ず指定の期間中に登録してください。
●各科目には,定員があります。
第1希望で決まるとは限りません。複数の選択肢を考えておいて下さい。定員は,以下の通りです。クラスごとの定員は,後日,登録時までに発表します。担当される先生方と実習内容については『コースガイド』で確認して下さい。
情報処理実習――――――――3クラス・60人(1クラスあたり20人)
コミュニティ設計実習――――1クラス・25人(うち4人は編入生)
コミュニティ運営実習――――11クラス・120人(1クラスあたり11人)
●コミュニティ運営実習を希望する人は,必ず希望する先生の研究室を訪問する。
指定の期間に希望するクラス担当の先生の研究室を訪ね,実習内容や履修条件などについて十分理解しておいて下さい。情報処理実習やコミュニティ設計実習を選択しようと考えている場合でも,定員の関係で履修できないこともあるので,コミュニティ運営実習を履修登録することも想定して訪問しておいて下さい。
なお,先生の研究室を訪問できる日程・時間帯については掲示します。指定された期日に必ず訪問してください。訪問しなかった場合,受け入れが認められない場合があるので注意して下さい。
演習・卒業研究の履修登録は4月に行います
3年生からコミュニティ政策についての専門研究が本格化します。なかでも,「演習(1・2)」は4年次の「卒業研究」に直結する必修科目です。
3年次の「演習」と4年次の「卒業研究」は,2年間、原則として、同じ先生のもとで学びます。
演習についてのオリエンテーションは4月に実施しますが,何をテーマにして学習するか,いまから各自の問題意識をはっきりさせておいて下さい。
なお,とくに注意してほしいことは,3年次の「演習」を履修登録しなかったとか単位を修得できなかった場合,4年次に「卒業研究」を履修登録することができません。その時点で留年が決まり,4年で卒業できなくなります。演習と卒業研究を同じ年度に履修することはできないので,注意して下さい。
履修登録は,各自の責任で行うものです。オリエンテーションに参加しなかったとか掲示を見ていなかったというのは理由になりません。責任ある態度で臨んで下さい。
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就職について 就職委員会
皆さん、こんにちは。
4年生の皆さんは、いよいよ卒論の最終仕上げですね。卒業後の進路はもう決まりましたか。3年生の皆さんは、先日、ゼミ別に実施された就職ガイダンスに出席しましたか。
1・2年生の皆さんも、将来の進路について早目に考えておいた方が良いと思います。
冬休みを直前にして、就職委員会からメッセージをお送りします。
1. 4年生の皆さんへ
(1)まだ就職活動中の皆さんへ
「絶対、就職するんだ」という強い意識が絶対、必要です。今、具体的にアプローチしている企業は何社ありますか。「どこもないんですよ」。こんなせりふは論外です。今すぐに、就職課へいって相談してください。あなた自身が必死にならなければ、就職など絶対に決まりません。「どうしてもなければ、フリーターでもいいや。」これはあなたの逃げです。敗北です。「為せば成る、為さねば成らぬ、なにごとも。」最後の最後まで、絶対にあきらめないでください。
(2)就職の内定をいただいた皆さんへ
おめでとうございます。あなた自身の成果です。しかし、その陰には、ゼミの先生、就職課の方々、ご家族、友人などの有形、無形の支援があったことを忘れないでください。ハイテク化、デジタル化、ネットワーク社会、IT時代などといっても、最後の決め手は「人間」です。人と人との係わりから生まれる「コミュニティ」について学んだ皆さんの学習体験は、企業等に就職した後も必ず役に立つと確信しています。
また、内定をいただいた企業等には、すぐにお礼状を出すことも必要かと思います。さらに、内定先の研修会も始まっているようですが、そのために授業を欠席せざるを得ない場合には、担当の先生によく事情をご説明して、公欠扱いの手続きをすることも必要です。
2. 3年生の皆さんへ
去る11月6日(火)に行われた就職ガイダンス「4年生から聞く『内定獲得のコツ』」に出席しましたか。生々しい成功例、失敗例が次々と紹介され、会場の皆さんは私語もなく熱心に聞き入っていました。第2部では、5人の4年生をグループごとに囲んで、懇談も行われました。参加した3年生の数人から、「とても良かった。先輩が卒業する前に、もう一度、このような会をやって欲しい」と言う声まで聞かれました。もし、あなたがこのような就職ガイダンスに出ていなかったら、既にあなたは就職戦線で出遅れています。来年の就職戦線は、今年よりさらに厳しくなります。先日のゼミ別就職ガイダンスで教わったことをしっかり実行していってください。(このガイダンスにも欠席したような人は論外です。)
なお、公務員を志望する人に申しあげます。あなた方の先輩である一期生・4年生を支援してきた経験から言いますと、地方公務員の一般行政職に合格するためには、早くから相当な準備が必要です。筆記試験は、恐らく14年7月〜8月でしょう。「公務員でもやろうかな」という程度の、なまっちょろい考えの人は止めたたほうがよいでしょう。今からやるなら、準備期間は半年しかありません。文字どおり、死に物狂いの努力が必要です。また、一般企業の場合は、年内に資料収集をし、企業訪問することも必要でしょう。そして、来年の3月頃から会社説明会、筆記試験などが始まります。既に、就職戦線の真っ只中です。出遅れないように頑張ってください。
3. 1・2年生のみなさんへ
将来の進路のことは、どんなに早く考えても、早過ぎることはありません。勉学の道と一緒に、早目に考えてください。来年の就職支援活動では、1,2年生の皆さんへの早期支援を大きなテーマに掲げています。特に、公務員への道は益々厳しくなっています。漠然とした気持ちではなく、具体的に的を絞り込んで、長期計画でチャレンジしてください。
(文責 梁瀬和男)
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私の夏休み (学生投稿記事)
カナダ短期留学記
私は、この夏休みに8月25日から9月25日までカナダのバンクーバーに短期留学しました。カナダを選んだ理由は、この国が多くの国からの移民を受け入れており、人々が助け合いながら生きている国であるため、治安もよいのではないかと考えたからです。
また、私は2年生の1月から英会話の学校に通い始めていたので、カナダで自分の英語力を試してみたいとも考え、短期留学を決意しました。
旅行の準備は、留学専門の会社に依頼しました。始めは、自分の貯金の範囲内でということで一番安い日本人のみを対象にした観光付きのプログラムを考えましたが、何度もカウンセリングを受ける間に、すべて一人で行動するホームステイしながら語学の専門学校に通い、9時から4時までびっしり英語を勉強できるプログラムに決めました。
いよいよ一人で名古屋空港からバンクーバーに向け出発する時は、不安と緊張でいっぱいでした。始めのうちは、まわりに日本人は一人もいなく、頼る人はホストファミリーしかいなかったので、ホームシックにかかってしまいました。しかし数日後、学校が始まると、多くの友人もでき、カナダの生活にも慣れ、多くのことを学び、経験することができました。
最大の収穫は、自分の英語力を知ることができたことです。友人と話すのもすべて英語を使わなければならず、日本人とも、あえて英語で話しました。そのおかげで、様々な国の友人ができ、共通の英語で楽しく授業を受けることができました。そして自分の英語力を知るにつれて、もっと勉強し知識を増やさなければ、という意欲が湧いてきました。そして帰国後も外国人と積極的に話すことができるようになりました。
今回、一番思い出に残ったことは、クラスメートと授業をさぼってボーリングに行った時のことです。私のクラスは8人でしたが、ある日の授業が代理の教師で余りにつまらなかったので、皆と話し合い、ボーリングに行くことに決定。私たちはあちこち探し回って、道行く人に尋ねまわり、10本ピンのボーリング場を見つけ出しました。そこにたどり着くまでに、質問に中国語で答えた人には中国人の友人が通訳をし、スペイン語の人にはメキシコの友人が通訳し、といった具合で、私はこのメンバーの多様性に感心してしまいました。また、この間ホームステイをしたことにより、日本とカナダの文化、生活スタイル、子供の教育方法の違いなどを知ることもできました。
この留学の期間中に、隣国アメリカでのテロ事件が起き、無事帰国できるか、不安の日々でした。同時期にホストファミリーとシアトルに遊びに行き、イチロー選手の試合を見る予定でしたが、スタジアムに到着後試合中止を知り、唖然として立ちすくんだ、ということもありましたが、すべてよい経験で、短期留学を決意して本当によかったと思っています。来年再びカナダを訪れ、友人たちに再会したいと思っています。皆さんにも機会があったら短期留学をお勧めします。
安藤香奈子(3年・西山ゼミ)
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学生研究発表会 各賞授賞結果報告 研究委員会
11月3日に学生研究発表会が行われました。
厳正なる審査の結果、コミュニティ政策学部からは下記のみなさんが受賞しました。
おめでとうございます!
学長賞(金賞)
肌附喜美子(4年・井上ゼミ)論文「セクシュアルマイノリティと生きる」
ソ ミ ヤ (3年・中田ゼミ)論文「地域共同管理と環境」
銀 賞
河野恵三 (4年・林ゼミ) 論文「台湾経済発展要因の一考察」
遠山幸枝 (3年・後藤ゼミ)論文「高機能広汎性発達障害−アスペルガー障害への発達援助の方法−」
銅 賞
佳 作
後藤和隆(3年・後藤ゼミ)論文「身体的虐待」
稲垣裕也(3年・井上ゼミ)論文「男女共同参画社会基本法について」
市場博貴(3年・後藤ゼミ)論文「『虐待』―事例から見る心理療法による立ち直り過程―」
種田勝利(3年・後藤ゼミ)論文「障害に対する心の壁−自閉症児との取り組み体験から−」
新村達也(3年・井上ゼミ)論文「男女共同参画社会に向けた各自治体の取り組みについて−名古屋市−」
都築良子(4年・矢部ゼミ)論文「人とスペシャリスト・ドックの関係」
飯嶋洋雄(3年・林ゼミ) 論文「台湾政治不安定要因の由来─「省籍問題」を中心に─」
鈴木雄一朗(3年・井上ゼミ)論文「男女共同参画社会について」
鈴木良典(3年・後藤ゼミ)論文「わが子を虐待してしまう親とは」
寳田深央(4年・井上ゼミ)論文「性犯罪被害者の「人権」」
平良佳子、古山紋子、長谷川莉蓉、市沢美幸、佐藤友季子、住吉恵美、熊谷有希子(2年)
ホームページ「沖縄の方言、観光、戦争について」
以上
研究発表会は来年も開催される予定です。みなさんがんばってください!
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豊田学泉祭だより (学生会投稿記事)
11月3・4日に第12回豊田学泉祭が開催されました。今年の学泉祭は突然の雨というハプニングがあり、会場変更などでご迷惑をおかけしました。
コージー冨田さんのお笑いライブは大変好評で、皆さんの笑顔を見ることができスタッフ一同ホッとしました。2日目は軽音楽、よつば、箱入外人etcのライブ、早飲み大会、ビンゴ大会、ファッションでshow、カラオケ大会などの企画が行われました。
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井上ゼミの学生が中心となり行われたシンポジウム。
「ここが変だよ性教育」。
助産婦さんの講演。 |
矢部ゼミではカメの展示かとおもいきや 『恐竜の化石です』。 |
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地域の方々が、布わらじ作りをして下さいました。 |
保田ゼミでは「紙芝居」。 たくさんの子供たちが参加してくれました。 |
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今年は皆さん一人一人の積極的な参加によって学泉祭を開催することができました。皆さんお疲れ様でした。そして皆さん本当にありがとうございました。
(学生会・土井)
学泉祭をながめて 成戸浩嗣
今年の学泉祭は初日があいにくの雨。学内外の人たちの出足はいかがかと心配された。特に、前日から仕込みにかかった屋台のおでんなどは、人ごとながらその売上が心配であった。しかし、お昼時になると、学生や学外の人たちで結構にぎわっているではないか。この天気にしては上出来と言ってよい。筆者は、開店し始めた段階で彼らの働く美しい(?)姿をビデオカメラにとって回った。声をかけながら一応撮影の承諾をもらいつつ、なし崩し的に写していったが、皆やる気充分、中には学生よりも屋台の方が似合う人もおり、ほほえましくも頼もしい。大学祭のようなイベントには、予測しなかったハプニングがつきもので、この屋台のタコヤキ屋にも致命的な事態が起こった。すなわち、タコヤキ用の鉄板が来なかった!
それにしても、学生会は、少ない人数の中でよくやったと思う。スタッフが少ないので、学生会はどこにいるのかわからないほど。それでも、雨の中重い機材を運んだり、
映画の客寄せに声を張り上げる女子学生を眼にして、とても心強く感じたのは私だけではないであろう。最後に、一般学生の皆さんに一言。イベントには絶対参加した方が面白いよ。時には食べ放題、飲み放題、その他やりたい放題。そして、その中から、確かに何かの収穫を得るのがわかる。来年はみんなで主催者になろう!
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セクシュアル・ハラスメント相談窓口
セクハラの人間学・2002
カオナシ
2001年暮れ、夏から上映されている宮崎駿監督のアニメ映画『千と千尋の神隠し』は、いまだ衰えぬ人気で観客動員記録を更新中である。この人気の秘密については、筆者の行なっている講義の中でも取り上げて解説したが、大変興味深い話題である。子どもが大人になることを巡っての様々な現代の課題が盛り込まれていて、心理臨床の立場から見て筋の通った優れた作品である。
この中にカオナシという不思議な男が、重要な役どころで登場している。カオナシは、主人公の千尋(ちひろ・10歳の女の子)が働いている湯屋(神々が体を休めにくるお風呂屋さん)へ、どこからともなく現れて入り込む、影のような存在である。全身を黒いマントで包み、顔には無表情な仮面を付けている。彼は、自分の言葉を持たず、ただ相手の欲しがるものを手のひらに作りだして与えることによって人と関わることができる。相手が欲望に駆られて手を出すと、仮面の下に隠れた凶暴な口で飲み込んでしまう。そうして飲み込んだ人間の声で、自分の欲望を語り、相手の欲望を際限なく刺激し続けるのである。
カオナシと千尋
もともとは存在感の無かったこのカオナシが、湯屋に入り込んで砂金を撒き散らし、湯屋で働く人たち(蛙男やなめくじ女たち)の欲望を肥大化させる。大きな宴会場の真ん中で、山のような御馳走を食い散らし、3人もの人間を飲み込んで巨大化したカオナシが、千(千尋の迷い込んだ世界での呼び名)を求めて暴れ狂う。
"千はどこだ。千をだせ。"
湯屋を支配する湯婆婆(ゆばーば)に呼ばれてやって来た千尋は、広間の真ん中で独りカオナシに対峙する。カオナシは千尋に山程の黄金を出して誘惑する。
"金を出そうか。千は何が欲しいんだ。言ってごらん。"
千尋は答える。
"あなたはどこから来たの?来たところへ帰った方がいいよ。私が欲しいものはあなたには絶対出せないものだから。お家はどこなの?お父さんやお母さんはいるんでしょ?"
途端にカオナシは顔を身体に埋めてうめきながら、千尋ににじり寄ってくる。
"いやだ……いやだ……さみしい……さみしい……千ほしい……千ほしい……"
カオナシは千尋の拒絶にあって怒り狂い、千尋を飲み込もうとして追いかけ回す。
カオナシのしたセクハラ
物語のなかでもクライマックスのひとつになっているこの場面のカオナシの行為は、明らかに千尋に対するセクハラである。居場所の無い寂しい人なのだが、自分を持たないが故に、まわりの欲望によって自我肥大を起こし、他者を飲み込んだつもりが他者の欲望に飲み込まれ、暴走する欲望に翻弄される、本質は弱くて悲しい孤独な人間なのである。
このカオナシの存在は、経済効率と利便性に価値を置く"お金の原理"を行動規範としてきた我々現代人の一側面であるとも言える。生命を育む愛とふれあいを大切にする"いのちの原理"を自らの生き方の中から切り捨ててきた現代人が、人間であることを忘れた姿とも言える。
人間にとって大切なものを見失い、自分の真実の姿をなくした時、人は目の前の刹那の欲望に駆り立てられて我を忘れる。
セクハラの本質は、案外そうした身近な心の問題なのである。"いやだ……さみしい"というカオナシの呻きが、背後の問題を教えてくれている。
カオナシの求めていたもの
その後、千尋は愛するハクという川の化身の男の子を救うために、電車に乗って旅に出るのだが、カオナシは飲み込んだものを全て吐き出した後、千尋を慕って旅についてくる。
千尋が尋ね当てた先は、湯婆婆の双子の姉・銭婆(ぜにーば)の家である。ここでささやかではあるが温かなもてなしを受けて、カオナシは糸を紡ぐ銭婆の手伝いをする。そして千尋が帰る時に、銭婆から"お前はここにいな。私の手助けをしておくれ"と声をかけられる。
自分が誰かから必要とされることが、居場所を見つけることである。カオナシは、穏やかな母性によってここでようやく自分の居場所を見つけたのである。物語自体も、ここから大団円へと向かう。最後の使命に向かう千尋を見送るカオナシには、いつの間にか確かな存在感が生まれている。
人はみな、誰かに必要とされることを求めている。それが得られない時に、心が荒み他人の気持ちを思いやるゆとりを失う。そのように人間同士の心のつながりが断絶したコミュニティの中で、気に入った他者を力づくで一方的に支配しようとする衝動が生まれる。セクハラのような他者支配の欲求も、その他の暴力や犯罪への衝動も、その意味で根は同じである。
他者の気持ちを大事にすることは、自分と自分の気持ちを大事にすることである。セクハラの問題をみなで考えあううちに、それができるようなコミュニティに育っていくことが、この学部の掲げる理想である。
セクシュアルハラスメントの問題を、そんな視点から改めて捉え直してもらうと、自分は大丈夫、関係ない、と、思っていることが結構危ないことだと、気付いてもらえるのではないだろうか。
(文責・後藤)
※入学したときに配布したパンフレット『セクハラ相談への手引き』を、時々は眺めてくださいね。
※コミュニティ政策学部のセクシュアルハラスメント相談員は、井上匡子・建石真公子・後藤秀爾の3人です。
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ことば・コトバ・言葉
ヒト(homo sapiens)の語源 菅野正彦
「ヒト(人間)」をラテン語で'homo sapiens'と言います。'Homo'から英語の'human'や'humanity'という言葉が派生しました。'Sapiens'には「賢明な、聡明な、分別がある」という意味と、名詞として使われると「美食家」という意味とがあります。
'Sapiens'の名詞が'sapientia'で、イギリスの哲学者・Thomas Hobbes(1588-1679)は「知は力なり」(sapientia est potentia)という有名な言葉を吐きました。
ラテン語の'sapio'は「(私は)味わう、味がする、味を知っている」の外に「賢明である、目がきく、理解する」という意味があります。名詞'sapor'は「味、味覚」という意味で、'homo sine sapore'は「味のない(無味乾燥な)人」を表し、英語の'savour'や'sapid'はこの意味から来ています。従って'sapiens'には「分別がある」と同時に「味が分かる」という意味があります。
「文章を味わう」に見られるように、学術用語として味覚の言葉が使われることがあります。このように、勉学と飲食とは密接な関係があるのです。
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